日本語トップ> 雑記帳>

平成6年法務省令第51号附則第2条第1項による改製


国のお役所への届け出のために 戸籍の謄・抄本や戸籍の附票を取り寄せたとき, 「平成6年法務省令第51号附則第2条第1項による改製」 というキーワードがあったら, 届け出のために必要な過去の情報が抜けている危険があります.

情報不足に気づいて,あわてて 「平成6年法務省令第51号附則第2条第1項による改製」で検索して トップでヒットしたページ を見て,起きていることが判断できた経験から, こういうキーワードのページを残しておくのも役立つと知って, 私の他のページと無関係な断片的なページを作ることにした次第です. (よろしければ,あとで他のページものぞいてみてください.)

「平成6年法務省令第51号附則第2条第1項による改製」で検索すると, 他にも wikipedia このキーワードとは別のところで生々しいページを始め, 多数のページが引っかかるので, このページには情報のバックアップの意味はさほど無いと思いますが, 他のページとの差別化を計って, 「戸籍の附票」に即して簡単な説明を残します.


戸籍の謄・抄本が氏名や生年月日や相続関係を証明するように, 戸籍の附票は過去の住所を国の役所に対して証明できる書類のようです. 財産の移転を,税務署をはじめ,国のお役所へ届け出るときに, 戸籍の謄・抄本とともに戸籍の附票が必要となることがあります.

引越を市区町村の役所に届けると,戸籍のある地方自治体の役所に情報が伝わり, 戸籍の附票の旧住所が線で消されて新住所が追記されるようです. こうして,線で消された過去の住所の蓄積を, 住所の経緯の公的な証明に使うことができる, という理屈のようです.

本題です.取り寄せた戸籍の附票に

【改製日】平成1○年△月×日
【改製事由】平成6年法務省令第51号附則第2条第1項による改製

とある場合,その日付より前の引越の履歴は載っていません. 線で消す・消さないではなく,跡形がありません.

この省令による改製とは,いわゆる戸籍の電子化による改製です. 平成6年以降,紙に記録されていた戸籍を,地方自治体毎にその判断で適宜, 電子媒体に入力して, 以後は電子的な記録を正式の戸籍とする,ということのようです. (電子媒体って,実際には何が使われているのだろう?平成だから, 磁気テープではないと思うけど….)

戸籍の置いてある地方自治体が戸籍謄本を電子化した後に, 自分が引っ越した場合, 戸籍の電子化による改製日時点で自分が住んでいた住所は, 線で消された状態で電子記録に残っています.(ですから,証明に使えるはずです.) しかし戸籍の電子化による改製日よりも前に引っ越した住所は, この戸籍の附票に痕跡がないので,証明できません. この場合,市役所や区役所等で, 「電子化による戸籍改製の前の住所の証明が必要だ,」 と言って,徐票【原戸籍(電子化する前の戸籍)の附票】も請求する必要があります.

過去の住所を証明するために,附票(戸籍電子化以後の住所)と徐票(戸籍電子化以前 の住所)両方必要になるので,余分に300円+小為替発行手数料100円=400円 かかります.(戸籍と附票合計750円の額面の小為替はあるので100円で済みますが, 戸籍と附票と徐票合計1050円の額面の小為替はないので小為替発行手数料も100円 余分にかかります.)

過去の記録は,線を消した状態で電子化してもよいはずですが, 検索でヒットしたページの苦情を読んでも,私自身の経験でも, 電子化時点で線で消されていた紙の記録はどこの地方自治体でも電子化していません. 線で消した内容は,現在の状況ではないので, 戸籍やその附票の持つ本来の趣旨であろう「現在の日本人の列挙」には不要, という「中央からの声」のようなものが, 電子化に早くから取りかかった地方自治体に降りていたのでしょう. 電子化の作業の省力化のために,電子化前に線で消されていた内容は 電子化しなくてよい,という判断です. あとから電子化した地方自治体は前例を問い合わせて,それに従って, みな電子化前に線で消された戸籍と附票の内容は電子化しなかった,と 推測します.

もちろん戸籍の電子化と関係なく, 生死や結婚などで戸籍を作り替えると,以前の記録のうち当人に関係ない 兄弟姉妹の記録などは新しい戸籍に書き写されないので, 相続などの際は戸籍をさかのぼって,除籍謄・抄本を取り寄せる必要が あります.「同様のことが戸籍の電子化の場合も起こるだけのことだ,」 と言われればそうでしょう.ただ, 自分や家族の一身上の変化で戸籍が変わる場合は, 証明のために書類を揃える際に記録をさかのぼらねばならないことが 自然に発想できるし,実際に除籍謄本といった言葉も用意 されているのに対して, 電子化のように自分と無関係な理由で,自分の過去の住所の記録が 現在の(電子化された)戸籍附票から抜けている,というのは, 知識がなければ想像しづらいし, そもそも,自分の戸籍のある地方自治体が戸籍を電子化してもその連絡は 戸籍を持つ者に来ませんから, 書類が必要になって取り寄せてから,初めて情報が足りないことに気づきます.

したがって,このような事態は専門家として,戸籍附票を住所証明の手段として 要求する国税庁などの役所側が要求する際に,手引きなどに注記すべきことです が,なぜかこの注意を役所が怠っているようです.


蛇足 最初に紹介したページには, 「平成6年法務省令第51号附則第2条第1項による改製」 関連での区役所の対応に対する不満を書いています.同様の経験を, (関係各役所がいつか気づいて対応してくださることを祈念して) 書いておきます.


日本語トップ> 雑記帳> inserted by FC2 system