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定理 (20060819) の証明の核心部分.

証明そのものは 論文をご覧下さい. ここは手持ちの証明の強引さの笑い話のページです.

領域 D を帯状領域に変換する対応 y=x2z を考え, (X,Y)=grad W に対して G(x,z) = X(x,x2z)/x および F(x,z) = z X2(x,x2z)/Y(x,x2z) とおく. D における grad W の固定点と D'={(x,z) = x>0, 0≦z≦1} における F(x,z)=G(x,z)=1 の解が1:1に対応することはすぐ分かる.

(x,z)→(G(x,z),F(x,z))のヤコビアンを JGF= Gx Fz - Fx Gz とおく. 陰関数定理から JGF が 0 にならない(定符号である)ことが, 少なくとも局所的には (x,z)→(G(x,z),F(x,z)) が1:1であること (したがって,特に,固定点の唯一性)を保証する. 定理に設定したいくつかの条件のおかげで, さらにそのとき大局的にも x が 0 近くの定性的振る舞いが伝搬するので, 大局的な固定点の唯一性に至る.

問題の核心は D'における JGF>0 の証明である. 実際には,D'全体で証明できなくても, たとえば F=1の近傍に限って証明すれば十分なので,それを目指す.

Rem0=e(x,z) =(1-z)x2 Y2/X2(x,x2z) (JGF-F(1-F)/(z(1-z)) Gx)(x,z) とおく( Rem0はMathematicaで計算するとき付けた名前, e(x,z)は論文に書いたとき付けた名前.ソフトによって見やすさが違うので…) と,これがx,z,1-zの正係数多項式になることが言えれば F≦1 かつ D' 上で JGF>0 となり,証明が終わる(0 にならないことは 項を具体的に見ると言えるのでここでは省略). つまり,3変数正係数多項式 f(x,z,s) をうまく見つけて, Rem0=e(x,z)=f(x,z,1-z) としたい.

試行錯誤で見いだした ec(x,z,s) = ct[x,z,s](右辺はMathematicaで使った名前) と er(x,z,s) = res = Σn=930 resC[n,z,s] xn(同上) を用いて f(x,z,s)=ec(x,z,s)+er(x,z,s) とおくと, e(x,z)=f(x,z,1-z),すなわち,
Rem0=ct[x,z,1-z] + res /. s→1-z
がMathematicaによって確かめられた,というのが下の図である.

ところで,Mathematicaと書くと,下の長い式のことを, 機械が勝手に計算したもの,と 思うかもしれないので念のために書いておくと, 「counter term」ct[x,z,s] は,私が全ての項を手で打ち込んだもの. これらは,W に問題2 (19990204)の仮定を満たす項を順次追加しながら 証明を見つけつつ,その証明が成り立つように探し当てた.

F(1-F)/(z(1-z)) Gx(x,z) という意味のよくわからない(が, とりあえず有用な)関数もそのようにして私が見つけたもので, Mathematicaが教えてくれたのではない. Mathematicaにやらせたのは,これらの項を引いた残り er の算出で, それはxとzの多項式として得られるので負の符号があちこちに残る. それをzと1-zの正係数多項式に書くのも手で行う必要がある. つまり res の長い式のうちsを含む項はやはり私が手で打ち込んだもの.

このように,手持ちの証明は腕力と感と長い試行錯誤で解いたもので, 数学的描像や物理的描像の知られていない,自動化もできない, 不満足なものです.最大の不満は,もちろん,このままでは高次元(多変数)化 が自動的でないことです.良い証明(および良い定理)が待ち望まれます.

証明の完成図
dSG上のrSAPのくりこみ群の一般化 − SA固定点の唯一性証明の中のcounter termと残差への分解
「Counter term」 ec(x,z,s) = ct[x,z,s] に負号がないようにできた!
dSG上のrSAPのくりこみ群の一般化 − SA固定点の唯一性証明の中のcounter termの正値性
「残差」 er(x,z,s) = res = Σn=930 resC[n,z,s] xn に負号がないようにできた!
dSG上のrSAPのくりこみ群の一般化 − SA固定点の唯一性証明の中の残差の正値性


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