教員が学生の学習達成度を評価するだけでなく, 学生が教員の授業内容を評価すべきだというかけ声があります. かけ声(に隠された意図)には賛同しませんが, 教員が学生に評価されるという意識を持って授業することも 授業の改善につながるとは思いますので, 出席点代わりに試験問題に授業評価のアンケートを出題しています. これまでは,私がそれを読んだ時点で目的は果たしたと考えていましたが, 集計結果を公表することで, 来年度以降の受講生にとって次のような利点の可能性があることに気づきました.
1997年度解析学1冬学期試験の試験問題5問のうち, 問5として15点を配点することを明記の上出題(120点満点). 答案数50,問5の回答数49. 原文はこのページの最後にあります. 自由記述の意見はこちらに抜粋しました.
良い | 普通(無記入) | 良くない | |
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(教員の)内容理解 | 36 | 13 | 0 |
授業準備 | 30 | 17 | 2 |
質問の受け答え | 27 | 21 | 1 |
各回の位置づけの明示 | 22 | 25 | 2 |
詰め込み過ぎない | 20 | 26 | 3 |
話し方の明瞭さ | 16 | 29 | 4 |
講義内容の充実 | 14 | 34 | 1 |
講義による刺激,興味の有無 | 9 | 25 | 15 |
早過ぎないしゃべり方 | 6 | 32 | 11 |
黒板の読みやすさ | 3 | 6 | 40 |
「内容理解」や「授業準備」は人によってはばかげた項目と思うかも知れないが, 私の大学時代,専門科目で,教科書棒読みの上に中身を理解できずに しょっちゅう立ち往生した先生も若干いたので,念のため項目に入れました. キユウでありました.(もちろん,私の大学時代も, 大半の先生は入念な準備と意欲的な講義をして下さっていました.)
項目を設定したということは,そいういうことに気を付けて講義をするという 意図でしたから,過半数の項目が肯定的だということは, 気の付け方が適切だったということであり,ほっとしています. (上位7項目の少数の反対意見の解釈に関しては下記問題点の項目参照.) 問題点は下位3項目に絞られています.
板書の汚さは改善していません.いろいろ改善案を頂いたので, さらに工夫を重ねるつもりです.しゃべり方や板書のスピード(項目に 入っていないが自由記述で指摘が複数あった)が早いという意見が多いのは意外. 私が大学時代に受けた数学の先生による教養科目の講義は全て信じられないくらい 速かったので,数学科の講義は速くしないといけないと思いこんでいました.
いちばん意見が割れたのが, 講義に刺激されたか,興味が持てたか,という設問. 当然これが最後の,総合的な設問であって,技術的なことはともかく, 実質的な意味で講義が役に立ったかどうかを測るものでした. 50人もいれば全員に有益な講義などあり得ないので, 意見が割れるのは当然であり,むしろ意見がこのように割れたということは それなりに中身のある講義ができたということではないか, と希望的に読みます.
平均 | 標準偏差 | |
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講義の総合評価 | 7.4 | 1.0 |
受講生の講義の理解程度 | 5.3 | 1.7 |
受講生の授業態度の自己評価 | 4.6 | 2.0 |
点数による評価は,参考にした資料にあったので入れてみましたが, 数値自体は平凡で,悪い講義ではないという判断以外には, 特別な意味を引き出すのは難しそうです.
以下の点で設問の設定や言葉遣いの細部の工夫に課題を残しています.