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O君の講義感想と私の答え


O君の講義感想

O君が講義感想をご自分のページに貼っているので見て下さいと言ってきました. 立教大学在籍時のものなので今はリンク切れですが,下にコピーを張り付けます.

服部先生へ・・・授業の感想

こんな場でこんな事を書く事をお許し下さい. (へっへっへ,先生がいけないんですぜ)

 テストの裏にも書きましたが,厳しく厳しくつけて,50点ぐらいでさ.

黒板の字の事については,十分に書かせていただきやした.あれを読んで下さい.

肝心の授業内容なんですけどね,最初の方でひたすら定義だけをやってくれたのは, とても嬉しかったです.とてもていねいで,みんなが覚えるまで必至になって・・・. 去年の教訓をしっかり生かしているのでしょうか.まあそのぶん, 暇になってしまったんですが.ところで,先生勘違いしていらっしゃいますが, 暇になった理由は,べつに講義が退屈だったわけではないんです.暇になったのは, 授業中に出した問題のせいでやんす.なんか時間かけすぎだったなあ,と 思ってしまいました.ずいぶん失礼な話ですけど.

そうそう,演習問題で思い出したけど,なんか,演習問題の数が少なすぎる,と思う. とくに,講義の最後でやった速度の構成なんかは,確かにできる,という定理は やったけど,じゃあ,実際にどうやって構成するのかが,ぜんぜんわかりません. 自分で考えろ,ってとこか,それとも,形式的な構成法がないのか・・・そこらへん, もうちょっとやってくれるとよかったなあ.まあ, 問題の方に関しては,作れるほどのことをまだやってないのかも.

次は期待してます.


O君の講義感想に対するお答え

こんな場でこんな事を書く事をお許し下さい. (へっへっへ、先生がいけないんですぜ)

なぜ、「私がいけない」のかな? それはともかく、正直かつ建設的な感想を公開するのは大歓迎です. ありがとうございます.早速以下に答えます. でも、厳しいご意見なので防戦一方です.期待しないで下さい.

黒板の字の事については、十分に書かせていただきやした.あれを読んで下さい.

字については何も争いません.教師やっている以上は板書できて当然だものね.

説明だけしておくと、私は左利きを子供時代に矯正されたので、 右手には力がかからないし制御も不正確です. 手の不自由な人に無理矢理字を書かせることを考えてみて下さい. 健康な人が思うよりずっと難しいものです. 読んでもらえているだけありがたいことです.

この文を書いているいま、 本田技術研究所が作った、世界初の 自立的に二足歩行するロボットの特集をテレビ(7月24日TBSニュース23)で やっています. 人の動きというのは健康な人にはとても自然に意識せずにできる「簡単なこと」 ですが、これが如何に難しいかは、先を越された一流の専門家たちが 「二足歩行ができるとは思わなかった」とインタビュー答えているのを 見ても分かると思います.「読める字を板書できる」ロボットなんて 話題にも上っていないです.

暇になったのは、授業中に出した問題のせいでやんす. なんか時間かけすぎだったなあ、と思ってしまいました.

受講生全員に初等的な質問を繰り返したことを指摘しているのでしょうか? Aさんが退屈にしていたのはそれでした. 質問を繰り返して興味を持ち始めてくれた諸君もいると思います. 難しいところです.

各自の興味や理解度が極端に違うのを、 一クラス60人全員に目を配ろうとすれば、全ての学生に不満が残るのは当然です. 学校は一クラス20人が限界だと思います.

私にできることというと... 私は多人数講義よりも一対一の討論に向いていると思います. 講義で不十分と感じたら、いつものように研究室に来て質問や議論をして下さい. それから、後期は質問を減らしてみましょう.

前期も、最後の一ヶ月は数学の講義らしく順調なスピードで進んで、 先を知りたい諸君にも配慮したつもりですが、でも、O君はそのころは もう講義を見捨てて寝ていた?

演習問題の数が少なすぎる、と思う.

解析学1は必修なのに演習の時間がついていません. 私が着任する前の数学科の先生方が、 この講義には演習問題をやる時間はつけないと判断されたということです. さらに、時間が足りない、学生が難しいと感じる、という悪循環の果てに 新しいカリキュラムでは選択科目に移行しました. これも私の着任前に決まったことです. 当時は確率論を趣味とするような専任の先生がいなかったため、 解析学1を重視することは難しいと考えられていたらしい.

私は悲しい.でも、演習問題は各自で補充してもらうしかありません. O君なら自分で、あるいはN君などと問題を出し合う、など 十分できると思うけど.(ちなみに、私は独学で勉強したので、 演習問題が足りないと文句を言える先生すらいなかった.)

講義の最後でやった速度の構成なんかは、確かにできる、という定理は やったけど、じゃあ、実際にどうやって構成するのかが、ぜんぜんわかりません.

講義でやった構成方法は実際に作ってみせたことになっています. つまり、講義で証明した方法にのっとって 具体的に測度(速度じゃないよ)の値を計算できます. 実際、カントール集合の測度の計算を試験問題に出しました. この講義は演習問題の足りない分を試験問題や過去問で補っているので、 試験が簡単だったからといって素通りしないで、 講義の一般論との関係を見直してみて下さい.

もっとも、私ももうちょっと具体例があるといいな、とは思っています.そこで、

講義を補う例を募集します. 採用分には平常点を加点しますので、 ふるってご応募下さい.


匿名「O君」について (^_^)

2002年12月4日以前にこの小さなリンクをたどったことのある(暇な,もとい, 熱心な読者の)かたは気づいたかもしれませんが,この講義感想に関するやりとりの ページは全て匿名に変わりました.そのいきさつは次のやりとりによります.

Date: Fri, 29 Nov 2002 17:57:19 +0900 (JST)

>>僕が大学3年のときに書いた授業の感想がまだサイトに上がって
>>いるのを見て、顔から火が出そうになりました。

>そんなに悪いこと書いてあったっけ?問題ないことしか載せていないはずですが

何やらなれなれしい口調に、わざわざおどけたような表現で書いてしまったので
問題があるというよりは自分の過去の所業が恥ずかしいです。


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