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頻出の天気パターン.


過去問は第一級の資料であるが,唯一の欠点は,解説も含めて視点が, 実際に出題された特定の問題に集中してしまうことである.従って,

  1. 出題可能な気象パターンはそんなに多くないようだが, 全てが出題済みではない.
  2. 一般にある一群の天気図があると,そこから読み取るべきパターンは 専門家の間では概ね決まっているようである. 出題はその中からいくつかを選んで行われるので, 特定の過去問は可能な設問の大部分ではあっても全部ではない. 次回の試験の類題は同じ気象パターンであっても少し違う視点が 出題される可能性がある.十分勉強していればあまり 心配しなくてもよいのかもしれないが.
これらをカバーする最もよい勉強法は,過去問以外の解説記事を 勉強することである.地上・高層,実況・予想の各天気図を 総合的に提示して解説した記事を入手できればたいへんよい. 私は, 渡部勇氏から頻繁に実際の天気についての概況・予想例を頂いたことと, 石田信浩氏に借りた「気象予報士講習会資料集」の一部とで, 勉強することができた. いったんパターンが分かれば後は自分で勉強を続けられるが, 最初にこのような10から20例くらい典型的な具体例がほしいところ. 「天気予報の技術」にも例題が載っているが,典型をカバーするには少し 足りない.

「気象予報士講習会資料集」にある気象パターンの主題の一覧は次のとおり.

  1. 爆弾低気圧. 日本海で東または北東進しながら急速に(-1hPa/hr=-20hPa/day) 発達する温帯低気圧. 南から暖湿気流が流入して,激しい天気. 冬−春.
  2. 寒冷渦 (polar low). 上層の寒冷渦が不安定を引き起こす. 中規模以下の予想の難しいじょう乱(小さな低気圧などの上昇流場, ナウキャストで確認)があると,激しい天気. 冬−春.
  3. オホーツク海高気圧と北東気流. 新緑寒波.太平洋側に低い雲. 春.
  4. 梅雨前線. じょう乱があると集中豪雨の可能性. 6−7月.
  5. 太平洋高気圧縁辺の湿潤気流. 前線から遠いところに積乱雲が発生. 集中豪雨.8月.
  6. 台風の上陸. 7−9月.
  7. 北西季節風と日本海側の大雪. 西高東低の気圧配置.気団の変質. 12−2月.
  8. 南岸低気圧による太平洋側の大雪. 1−2月.

天気予報に関する解説書にはこういった典型的なパターンが載っている. ただ,広く出回っている本は地上天気図に基づく解説が中心なのに対して, 実技試験のためには高層天気図と合わせた解説が必要である.


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