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目次
1.予備知識   2.概要   3.学科/一般   4.学科/専門   5.実技

気象予報士試験傾向と対策 − 実技試験(1,2)


実技試験の「1」と「2」は, 初回の試験ではそれぞれ「共通」と「選択」と呼ばれていて, 位置づけや試験時間までも違っていたのが,試行錯誤で変化している. まだ固まったとは言えないが, 現時点では実技試験「1」と「2」の違いは感じられないので, まとめて解説する.

最近の実技試験の出題形式は次のようになっている.

  1. 実技試験1,2それぞれについて, ある時刻(初期時刻)の各種天気図(実況図)と24時間後の各種 予想天気図 が合計約10枚ついていて,
    1. 特定地点の諸量の読み取りと計算,
    2. 前線や収束線に関する作図と読みとり,
    3. 現象の原因の説明と降水の予想,
    4. 気象パターンの読み取り,または, 気象パターンに当てはめると解きやすい問題,
    5. 留意すべき災害の列挙と根拠,
    等の簡単な記述を求められる. 実況図には地上図と高層図の他に,エマグラムや衛星画像を含む. 問題によっては予想天気図は12時間後や36時間後の場合もあり, また, 特定の地点の特定の量の時間変化をグラフにした時系列図の場合もある.
  2. 題材は実際の天気を用いる. 出題される天気図は,試験実施月の 14カ月前から3カ月前までの約1年間のものである. 合格点は実技1,2の平均で5割から6割5分の間のどこかと思われる. (常識的には6割か6割5分ということになる.) 7割5分を目指して勉強するのが安全ということになり, 実質的には学科試験より厳しいと考える.
  3. 平成7年度から平成9年度第1回の間の出題パターン から次の傾向が分かる.

出題パターン から見て, 個別の問題を解く練習を繰り返す前に 自分なりに整理しておいたほうがいい点には次のようなものがある.

  1. スケール感覚
  2. 各種天気図の目のつけ所. 実際の試験では小問毎に用いる天気図を指定するので, 問題文からその天気図のどの量に注目すべきかある程度分かるだろう. だから (日常の天気図読みとりの練習としては重要だが)試験対策としては 自然に身に付く程度で十分.
  3. 特に熱力学や流体力学の基礎知識に基づく, 総観規模の現象の定形化した説明
  4. 頻出の天気パターン
  5. 基本的な災害の可能性の一覧

学科試験レベルの基礎知識と,以上の予備的な整理を別にすれば, 実技試験の基本的な勉強は,過去問を繰り返すことである. 特に,天気図から基本的な気象パターンを読み取り, 予想される基本的な設問に対する解答を思い出し, 設問が要求するキーワードを見抜く訓練と, 具体的な量の読み取り・計算や天気記号の解読の練習である. 過去問についている解説は良いヒントになるので詳しく勉強する.

答案の書き方は, 気象業務支援センターの過去問「気象予報士試験 − 5回分一括」 の目次と問題の間に具体例を引用して明示してある. 各過去問の解説の随所にも詳しく説明がある. 本質的に同じ解答を要求する質問でも, 年々よりきちんと答えることを要求する ようになっているので注意.


以上をやってもまだ余裕がある場合のお勧め. (「短期間の勉強で通る」という解説の趣旨からすると, あまり余裕が残っていないと思うけど...) 試験実施月の14カ月前から3カ月前までの天気を用いて出題されるので, この期間の実況天気図と予想天気図(地上と高層含む)のセットが手に入るならば, それらを用いて,概況と予想を文章にまとめる練習を繰り返す. (毎日やる必要はない.週に一度やったら立派過ぎるくらい.) 専門家の書いた模範例があればなおよい. この期間について, 普段からめぼしい天気に気をつけてノートしておくと, 安心できるかもしれない. 毎日の天気からめぼしいのを解説した雑誌も出ているらしい. 詳しい人に山を予想してもらえるとなお良い.

ご健闘を祈ります.


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