親ページに戻る>
「難問克服 ルベーグ積分」東京図書,2020年12月刊行 服部哲弥 の補足と訂正
最高水準の著者でも本の誤りをゼロにすることはできないらしいので,
私ができなくてもしかたない,と一方で思いつつも,
既に5点目の単行本なのに,
相変わらず誤りをゼロにすることができないことはたいへん申し訳ありません.
訂正の一覧です.
訂正以外の補足や注も区別せず以下に置きます.
ご指摘下さった方々に心から感謝します.
2023年までの(詳しく言うと2024年1月11日現在の)訂正を
本書ページの順に並べ直したpdfをリンクしておきます.
このリンクのpdf
を使用される場合は以下の一覧は同じ内容なので不要です.
凡例. 断らなければ,
p.* L.oo は *ページoo行目,
p.* L.-oo は *ページ下からoo行目の意味です.
以下,補足と訂正を,
新たに見つけた箇所が上になる順番に並べてあります.
-
p.137 L.7 問題64(1)の解答の中ほど
「またはと」 → 「または」
(2021/11/17 taxi氏(twitter.com/taxi03100903))
-
p.131 L.-3 問題61(2)の解答の最後から3行目行末近くの被積分関数の添字の中
「∪」
→
「∩」
(著者注:とても珍しい間違いで,私が出版社編集担当に渡した原稿は正しく「∩」なのに,印刷製本ではこの行の「∩」だけひっくり返って「∪」になったようだ.私は原稿をpLaTeXで編集に渡して,編集はそのままpLaTeXで編集して印刷に出しているようなので,体裁に関係ないここに編集が手を入れるとも思えないし,印刷も活字を拾う時代ではないだろうから,製本過程のどこで間違いが加わったのか謎.なお,1つ上の行との違いは,積分範囲をΩ~からその補集合の測度が0なことを利用してΩに等号で広げたことだけ.)
(2021/10/08 taxi氏(twitter.com/taxi03100903))
-
p.96 L.-4 問題45(1)の解答の8行目の数式行の行末
「A」
→
「I」
(2021/08/13 taxi氏(twitter.com/taxi03100903))
-
p.85 L.12 問題40(2)の解答の中央付近の行の文中数式の1つ
括弧の外の補集合の記号が抜けている
「A∪ B = (Ac∩Bc)∈…」
→
「A∪ B = (Ac∩Bc)c∈…」
(2021/07/02 taxi氏(twitter.com/taxi03100903))
-
p.73 L.3 問題34(2)の解答の最初の行の行末近くの和集合
補集合の記号が抜けている
「(∪ Bk)」 → 「(∪ Bk)c」
(2021/06/02 taxi氏(twitter.com/taxi03100903))
-
p.50 L.-2 問題24の解答の最初の行へのコメント
(この問題は現在2ページいっぱいを使っているので,
本書の「場外」でのコメントとしてここに置いておきます)
「集合の下限」はp.31の2章冒頭概説の外測度の定義式(2.1)の右辺最初のinf{…}のことだが,この集合は直方体(区間)の体積(長さ)の和という実数の集合なので「実数の集合の下限」と書いてある.直方体(という集合)を集合と呼んでいるのではないことに注意.
ノルムもそうだが測度は,実数の集合が持つ順序(不等式)という構造を最大限利用するべく,考察したい集合を直接扱わずに「大きさ」に相当する実数値を抽出してその実数値を扱う.
(2021/04/19 taxi氏(twitter.com/taxi03100903))
-
p.23 L.2 問題11の解答の最後から4行目の数式による評価
ていねいに書くと,
「背理法で,もし,有限集合でないL(n)があれば,すなわち♯L(n)=∞となるnがあれば,L(n)の定義からaλk≧1/nを満たす列λk, k=1,2,…,があるが,任意の自然数Kに対して,Mの定義の中でV={λ1,…,λK}と選ぶことによってM≧K/nが成り立つのでM=∞となって問(2)の仮定に反する.」
(2021/04/09 alter-sss氏(twitter.com/sss_alter))
-
p.44 L.-1 問題21の解説の最後の行
「いうこを反映する」 → 「いうことを反映する」
(2021/04/09 taxi氏(twitter.com/taxi03100903))
-
p.41 L.2,7,8 問題19の解答(2)の 3箇所の H1N(I) の括弧内
「I」 → 「(0,1]」 (3箇所)
(2021/04/05 taxi氏(twitter.com/taxi03100903))
-
p.40 L.4 問題19の問題文3行目の数式の末尾
閉じ中括弧が1つ多い: 「}}」 → 「}」
(2021/04/02 taxi氏(twitter.com/taxi03100903))
- p.68 L.-10 問題32の解説の下から3行目の文献番号
[15] →[16]
(2021/03/22 竹居正登氏)
(著者注:出版社が,1つにまとめていた文献番号を著者に断り無く別の番号を振ったために文献番号がずれた上に断り無く著者校正の手順を省いていた.)
- p.226 L.-3 問題106の解説の下から3行目の文献番号
[15] → [15,16]
(2021/03/22 竹居正登氏)
(著者注:出版社が,1つにまとめていた文献番号を著者に断り無く別の番号を振ったために文献番号がずれた上に断り無く著者校正の手順を省いていた.)
- p.229 L.-1 9章章扉の最後の行の文献番号
[11] → [12]
(2021/03/22 竹居正登氏)
(著者注:これは出版社ではなく,著者の原稿の間違い.)
- p.137 L.3 問題64(2)の解答の下から2行目
「h: R→R」 → 「h: Ω→R」
(2021/03/11 数弱者240氏(twitter.com/mathematics240))
-
p.21 L.-7〜-1 問題10(2)の解答後半へのコメント
この部分は,一般位相空間論で頻用の定理:
「コンパクト集合からHausdorff空間への全単射連続写像は同相写像」
の証明の論法である.
(落合啓之氏)
- p.28 L.4〜6 問題11の問題文のCの定義の前後
πはCの定義には関係ない
「とπ∈Πに対して…と置き,さらにω∈Ωに対して」
→ 「に対して…と置き,さらにπ∈Πとω∈Ωに対して」
(落合啓之氏)
- p.48 L.-5 問題23の解答の,等号3つつないだ式の,最後から2つ目(前から3つ目)の式
閉じ括弧が抜けている 「μd(…」 → 「μd(…)」
(落合啓之氏)
- p.56 L.-9 問題27(1)の解説の最後
「成り立つ.」 → 「成り立つ(問題79の伏線).」
(落合啓之氏)
- p.68 L.-2 問題32の解答
3つあるIAのうち後ろ2つが小さいが,すべて同じもの
(落合啓之氏)
(著者注:原稿のtexには文字サイズを小さくするコマンドはないが,改めて確認すると校正刷も小さいので,出版社のtexシステムのバグ?)
- p.82 L.7 問題39 式(3.1)
(ピリオド) → (コンマ) 「d(ω'.ω)」 → 「d(ω',ω)」
(落合啓之氏)
- p.100〜101 問題47の体裁へのコメント
問題文を各文ごとに小問(1)(2)(3)として,解答も「I1の場合」
「I2の場合」それぞれを段落毎に(1)(2)(3)とする.
その体裁の下で,
I1の場合の(3)の解答 →
「I2⊂I1なので,
σ[I2]⊂σ[I1]だが,
I2の場合の(3)の解答からσ[I2]
=2N(自然数のあらゆる部分集合たちを要素とする集合族)
なのでσ[I1]も2Nに等しい.」
I2の場合の(2)の解答 →
「I2⊂I1なので,
m: I2→R はm: I1→R の
部分有限加法族への制限なので,有限加法的測度である.」
(落合啓之氏)
(著者注:恐らく,元々の原稿は落合さんのコメントのようになっていたが,
原稿の初期のバージョンは項目をTeXのitemコマンドで
書いていたので,インデントなどの関係で2ページに収まらなくなって,
(初学者が迷わないよう内容を削らないまま)スペース節約する苦し紛れで(1)(2)(3)を
やめた結果,本の体裁になったと思う.ただ,他の問題で後に採用したように,
itemコマンドを使わずスペースを節約したまま(1)(2)(3)と手書きすれば入りそう
なので,落合さんのコメントが生きる.)
- p.102 L.-2〜-3 問題48の解答
「P[…]」 → 「μ(…)」 (3箇所)
(落合啓之氏)
- p.142 L.1 問題67の冒頭の文の最初の部分
「Ωの集合族I⊂2Ωが…満たすとし,」
→
「Ωの集合族I⊂2Ωが∪I∈II=Ωと,
I1,I2∈IならばI1=I2または
I1∩I2=空集合 を満たすとし,」
(排反な集合たちで,すべての和集合を取ると全体集合に等しい,ということ)
(落合啓之氏)
- p.150〜151 問題71へのコメント
(これを取り入れるには2ページでは足りないと思うので,
訂正や改訂ではなく,本書の「場外」でのコメントとしてここに置いておきます)
・ (1)の解答の構造は以下である:
g=Σn=0∞ an+1
1An∩An+1cと置くとき,
各点で|f|≦g であることと,
p.151 L.1〜3 (アーベルの総和法)によって
∫Ωgdμ≦(小問(1)で有限と仮定されている級数)
であることから主張が従う.
・ (3)の解答のanの構造(解答の見つけ方)は以下である:
f=Σn=0∞ bn
1An∩An+1cという形の
答を探す.limn→∞bnμ(An+1)=0 を仮定すれば,
アーベルの総和法によって
∫Ω|f|dμ≦b1μ(A1)+
Σn=0∞(bn-bn-1)μ(An).
他方,bn+1 > an+1 > bn ならば
問題文で有限と要請している級数は
Σn=1∞ (an-an-1) μ(An)
に等しい.
以上をにらんで,bn=(n+2)!,an=bn-1+1,
μ(An )=1/(n3 n!) と選ぶことで,
(bn-bn-1) μ(An)=O(1/n)と
(an-an-1) μ(An)=O(1/n2)を
実現している.
(落合啓之氏)
- p.162 問題76(2)
解説の最後に以下を追記 →
「(2)は稠密な有理数上で定義できないのに,ほとんどの点で収束する.」
(落合啓之氏)
(著者注:落合さんの元のコメントは,(2)の問題文で,
「すべての」有理数でなくても結論が成り立つことと,
1/√(|x-q|)の代わりに積分が有界な可積分関数列に一般化できること,
であった.そのとおりだが,わざわざ無駄な制限を残して出題したのは,
稠密な点で定義されていなくてもほとんど至るところ収束する
(高校や大学の前半では習わない)顕著な特徴への注目なので,
解説にその言及が必要だった.
落合さんが気にしているに違いないとおり,本の後半なこともあるし,
数学としてもおもしろい問題があると良いが,現状では決め手が無い.)
- p.186 問題87(2)
解説の最後に以下を追記 →
「なお,本書では|z|/(1+|z|)という形の関数を用いたが,
1∧|z|(大きくないほう)を用いても同値である.」
(落合啓之氏)
(著者注:測度収束とのつながりが後者の方が明快という趣旨とのことですが,「大きくないほう」の記号が相対的に狭い分野でしか流通していないためか,世の中では前者が頻出なので,本書としては前者のままにして,後者は注としておきます.)
- p.192 L.-2 問題90(1)の解答の3行目
添字1+nとn+1が混在しているが意味はなく,両方とも等しくn+1
(落合啓之氏)
- p.195 L.14 問題91(2)の解答の終わり((3)の解答の2行前)
「K≧Kiならば」 → トル
(落合啓之氏)
- p.196 L.3 問題92(1)の冒頭
ιKの値域は定義域と同じく実数
「ιK: R→」 → 「ιK: R→R」
(落合啓之氏)
- p.197 L.1〜6 問題92(2)の解答前半の別解
(これを取り入れるには2ページでは足りないと思うので,
訂正や改訂ではなく,本書の「場外」でのコメントとしてここに置いておきます)
(2)の問題文の測度収束の仮定と(1)からιKfnは
ιKfに測度収束する.他方,(1)のιKの定義と
(2)の問題文の有界性仮定からιKfn=fn.
以上からfnはιKfに測度収束する.
問題文の測度収束の仮定からfnはfにも測度収束するので
ιKf=f a.e. だが,これは|f|≦K a.e. を意味する.
(落合啓之氏)
- p.197 L.-8 問題92(3)の解答の中ほどの長い数式行の1つ上の行
左辺の絶対値の閉じが抜けている
「|ιK(fn(ω))-fn(ω)」
→
「|ιK(fn(ω))-fn(ω)|」
(落合啓之氏)
- p.197 L.-2 問題92(3)の解答の最後の長い数式行の2つの不等号の間の式
第1項と第3項が同じものの繰り返しだが一方の2箇所は「f」ではなく「fn」
「∫Ω|f-ιK○f|dμ」 →
「∫Ω|fn-ιK○fn|dμ」
(2箇所のどちらか一方)
(落合啓之氏)
- p.206 L.3 問題97の問題文の2行目
同じ積分が無意味に2度書いてある
「∫Rfn(x)dx=
∫Rfn(x)dx=1」
→ 「∫Rfn(x)dx=1」
(落合啓之氏)
- p.234 L.10 問題109の解説の2行目
「それらとを」 → 「それらを」
(落合啓之氏)
- p.12 L.-10 問題06の解説
「{ω'}⊂Ω」 → 「{ω'}⊂Ω'」
(2021/02/25 taxi氏(twitter.com/taxi14112225))
- p.5 L.-1 問題02の解答
「… Im f=Ω」 → 「… Im f=Ω'」
(2021/02/19 taxi氏(twitter.com/taxi14112225))
- p.224 L.-5 問題105の解説
「なお,(3)は」 → 「なお,少し長くなるので設問にはしなかったが,(3)は」
p.224 L.-5 〜 p.225 L.3 問題105の解説
「かつ…定義される測度である.」 → 「かつA={ω∈Ω|dμ/dν(ω)≦z}となるzがある場合には等号が成り立つ.」
(2021/01/25)
(著者注:この訂正で削除した当初の文面で言及する等号が任意の可測集合Aに対して成り立つのはvが特別な場合に限る.)
- p.21 L.-8 問題10(2)の解答の閉区間0から2の記号
(ピリオド) → (コンマ) 「 [0.2] 」 → 「 [0,2] 」
(2021/01/21 落合啓之氏)
親ページに戻る>