「統計と確率の基礎」は読み物として読めることを意識しているので, 各章で数理統計学のどの内容を学ぶことを期待しているかという教科書の側面が わかりにくいかもしれません. 本書前半については,各章の要約を入れたかったのですが, ページ数の制約(=値段をほどほどに抑えること)のため, 本体では割愛しました.
「統計と確率の基礎 第3版」の各章の主要項目を, 本体本文の配列ではなく,各章内である程度論理的順序に並べ直して, 以下に置きます.
講義の予習・復習や講義計画の参考になればさいわいです.
注:本書は高校1年の教科書にある確率論を前提とする. たとえば確率Pが加法性と非負値性を持つ集合関数であることは最初から前提とする. しかし,現代確率論の知識は前提とせず,たとえば,確率空間(Ω,F,P)において, 確率Pの定義域Fの明示を省略して(Ω,P)とする.また, 実数上の分布を離散分布と(ルベーグ測度に関する)密度を持つ連続分布に わけて(かつ,ルベーグ測度に対して特異な連続分布は考えないで)話を進める. (13章の確率過程は当然無理があるが,ランダムウォークとの類推から入ることで, いくつかの基本数式になじめれば良いとする.4章の大数の強法則も, 独立な無限個の確率変数が定義可能な確率はあるかという大前提に答えられないが, あるとすれば,という定理として先に進む.実際にそのような確率あることは 測度論に基づいて知られているので,無駄にはならない.)
確率論入門とのもう少し詳しいつながりは 経済学部2年の確率論入門の講義を参照. 特に,高校の教科書にある確率論とのつながりは 春学期講義スライド, 測度論に基づく確率論との関係のつながり(の入口)は 秋学期講義スライドを参照.
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注:母数についての線形空間としての構造(直交関数系だけでなく, 因子分析vs主成分分析,判定・診断(クラスター分析)),および, 母分布の選び方(母数の個数の選び方など,たとえばAIC)は, 紙数がとても足りないので初等的小冊子では触れることができませんでした.
尤度とどちらを先にするかについては,一般論として尤度を用意しても, 対数尤度をとれば2次形式,すなわち線形空間の構造にただちに落ちるので, 線形代数既習の条件下で回帰分析を先にするのが教育的に思えます.
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