日本語トップ
目次
かなとこ雲 雲の消失

渡部先生(第1回気象予報士試験合格)の感想


これはきれいな積乱雲ですね。

23日の左側の積乱雲は、立派に圏界面に達していると見えます。 この積乱雲の雲頂高度を翌日240000Z(日本時間24日09:00)の舘野の 第1圏界面高度の約14km、 雲頂の見かけの仰角を約20度(1/3 radian)と仮定すると、3×14km=42km程 の距離と見積もれます。写真では仰角は判りませんので、実際の値に反比例 させて距離を考えて下さい。


積乱雲の位置

実際の仰角は 10度からせいぜい15度くらいなので,渡部さんの計算を踏襲すると 60km(埼玉県久喜)から 80km(古河:茨城埼玉群馬栃木のほぼ県境)くらいとなる. しかし,分度器と定規だけで仰角を測ったので,この範囲と断定できるほど 正確ではなく,東京のほぼ真北栃木県南部くらいまで,としか言えない. ただし,問題の積乱雲は孤立していて 10km 以上の幅があり, しかもほとんど動かなかったので, 当日同時刻(24日19:30)の降水分布の解析雨量図で精度が 10km より よいものがあれば,積乱雲の位置(範囲)が決められる可能性がある. (どなたかご存じの方はご教示下さい.)

天気概況と積乱雲のでき方

渡部さんに天気図を送っていただいたので,初心者ではあるが考察してみる. 天気図 地上天気図(右図)は写真の1時間半後日本時間 23日21:00. 上層偏西風は 50N 以北で関東には影響なし,太平洋高気圧は 40N で 夏なのにまだ蒸し暑くなく,台風が 20N130E でこれから 温暖湿潤気流が流れて雲が増えるところ,というのが総観規模の主な状況.

梅雨が明けて間もなく,夏は夏だが,太平洋高気圧は北よりで南方からの 温暖湿潤気流はまだあまり入っていないはず.従って南関東は比較的湿度は低い はずで,上層雲と対流雲以外に雲がなく視界も良好な可能性が高いと思う. 実際この前の日までは横浜は快晴,次の日からはまだ晴れていたが雲が増えていた.

気象衛星雲画像情報図(下図)は写真の1時間半前日本時間 23日18:00. ファイルの大きさ節約ため関東付近だけ切り出してある.解像度が悪いが 右寄りの縦の線が東経140度.関東地方の雲の状況は:

天気分析図 天気分析説明

気象予報の勉強の復習(積乱雲のできた状況の推測)をしてみる.
  1. 台風9号に伴う東から南よりの風が対流圏境界層(大気低層)に流入し始める. 温暖湿潤気流というほどではまだないが,南からの空気だから乾燥した 空気ではない.
  2. 関東の中部から北部で収束してメソスケールの上昇気流を作る.
  3. 上昇に伴う断熱膨張で飽和を超えて凝縮して雲となり, 潜熱放出で周囲に比べて暖かい空気塊となって浮力で上昇を続けてる.
  4. 上層は比較的低温のため大気が不安定で背の高い対流となり, これに対応して雲は背の高い積乱雲になる.
  5. オゾンが太陽輻射を吸収して暖められている成層圏では浮力が働かないため, 雲が対流圏界面に達すると上昇が止まって水平方向に流れ始めた. これが親ページの模式図の赤い矢印の動きだと思われる.

稲妻

宇都宮では夏になると毎日午後5時ころからの数時間雷雨があったが, この日も写真撮影後数十分間,数分ごとに雲が明るく光った. 19:25頃には左の雲の真ん中,一番横幅の狭い辺りを飛行機が西から東に水平に 通り抜けた(雲の向こうだったか雲の中だったかは不明.雲の手前でないことは 確か)が,ちょうどそのとき落雷があって,光の筋が雲の最上部近くから 地上近くまで見えた.光の筋は飛行機を通り抜けたようにみえたが, 飛行機は無事だったようである.十回ほどの発光の際に雷鳴は聞こえなかった.
渡部さんの意見:

飛行機は死ぬ覚悟でなければ積乱雲には突っ込みません。 こんなにisolateしていていくらでも除け様のある場合はなおさら。
この飛行物体は雲の向こう側を通っていたのだろうか,それとも...UFO??


目次
かなとこ雲 雲の消失 inserted by FC2 system