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目次
1.予備知識   2.概要   3.学科/一般   4.学科/専門   5.実技

気象予報士試験傾向と対策 − 概要


個別の試験対策の前にすべき基礎勉強の順序です.
  1. 国際式天気図記号.

    知らないようでは「もぐり」かもしれないが,私は日本式しか経験がなかった. 実技試験は国際式で,記号読み取りの設問は実際に出題されているし, しかも,回を重ねるごとにより詳しい読みとりを要求する傾向にあるので, しっかり覚えないといけない.私は不十分だった. 今のところ上層雲の記号や最低雲の高さまで覚える必要はなさそうだが, それ以外は数値の単位まで含めて全て出題に関わっているとみてよい.

    記号一覧表は「改訂新版 新・天気予報の手引き」 (安斎政雄著,日本気象協会)で手に入れた. この本の第2章5−2節に国際式天気記号とその説明がまとめられている. 私は一覧表と説明のコピーを切り貼りして大学ノートに張り付けたり, 自分なりにまとめ直したりして,専用の記号と説明の表を作り, 実技試験の天気図を勉強するときはいつも横において確認した.

    この本の5−2節以外については,第1章に地衡風や傾度風などの定義が 読みやすく覚えやすくてよかった.第2章のうち日本式天気記号は試験にはいらない. 以後の章は, 微分などの数式を使わない点で,温度風などのちょっと数学的な 話になると曖昧で分かりにくい.また, 天気予報は地上天気図中心の話で, 高層天気図の読み取り能力を見る実技試験の勉強には役に立たない. 結局,天気図記号以外はあとに述べる参考書で十分だった.

  2. 天気図の読みとり.

    地上天気図はマスコミでお馴染みだが,高層天気図と エマグラムも実技試験では必要条件.エマグラムは湿数や湿度など自在に 計算できないといけないので,きちんと作図の練習をすべき. 高層天気図は高度(等圧面)毎に目の付け所が決まっているので, 過去問などで読み取りパターンをおさえて勉強する. 印象としては,各高度毎に,特にその高度を選んで天気図を作っている理由というか 言い訳けが気象庁にはあって,それにそってその天気図を利用しているようだ. 「目の付け所」はその「言い訳け」を見つけるつもりになれば分かりやすい. 高層天気図がいっぱいあることを恐れる必要はない.

    若干の解説を実技試験のページに書いておくが, ここで先輩の方々の指導があると断然進歩が速い. つまり,定期的に高層天気図を見て天気概況や天気予報を してもらう,それを天気図と見比べて,各々の高度の天気図のどこに 目をつけているかを整理する. いったん目の付け所が分かるとあとは自分で勉強を続けられる.

  3. 学科試験.

    出題傾向を分析した結果,一般・専門ともに,法律部分を除けば,タネ本がある. 毎回1,2問の例外を除いて1章から1問ずつ出るほど完璧なタネ本である. 「一般知識」についてはタネ本は「一般気象学」 (小倉義光著,東京大学出版会)であることが周知らしい. 「専門知識」はタネ本は知られていない気配だが, 本の目次(章毎の内容)は分かる. だから過去問とタネ本(または内容構成ごとの勉強)と法律を効率よく勉強すれば, 学科試験(午前の部)は合格する.

    先ず本を用意して一通り読むことになるが, 私は「一般気象学」ではなく,友人の紹介で 「最新 天気予報の技術」(天気予報技術研究会編集,東京堂出版)を 使った.複数の筋から推薦された. これ一冊で一般知識と専門知識両方カバー(法律も含む)しているので 能率的だからだろう.(実技試験は不十分.)

    本を一通り読んだら,過去問(後述・実技試験の項参照)をやる. 短期間の勉強で合格点を取るには自分の弱点を知って, 弱点中心に勉強し直す必要がある. そのために5回分(3年)以上の過去問をやって統計を取る必要がある. タネ本の章建てと過去問を組み合わせた勉強法については, 学科試験の各ページを参照.

    法律を「一通り読む」のは理系?には向かないので,そこだけは 先に過去問をやって傾向をつかんでからのほうがいいかも. 私は傾向をつかんで,覚えるべき法律項目をこの本からコピーしてノートに 切り貼りしたり,過去問から抜き書きして整理した.

  4. 実技試験.

    過去問を勉強するのがいちばんの勉強. 最近まで実技1,2の位置づけすら試行錯誤と思われる変化があったが, それでもある程度の傾向がある. 頻出部分を先ず押えて,それからその他の代表的な天気パターンの勉強を いくつか行えば感じがつかめるはず.

    とにかく過去問を揃えないといけない. 気象業務支援センター(東京都千代田区神田錦町3-17東燃ビル)に行くと 初回分から売っている. 1997(平成9)年初めの時点で私が買った(売られていた)のは

    1. 「平成8年度受験用 気象予報士試験 問題と正解  − 平成6年度第1回試験より平成7年度第2回試験まで5回分を一括掲載 −」
    2. 「気象予報士試験 問題と正解  − 平成8年度第1回試験 −」
    いずれも気象業務支援センター(編著,発行とも). 高い(1は4,000円,2は1,600円)が,高い受験料(12,000円)とともに, いたしかたないと割り切る.

    気象業務支援センターの過去問集は解答例と解説が付いている. 出題・採点する組織が解説をしているから,採点基準のヒントになる. 初期の試験問題は民間の本屋からも出ていると聞いたので, 一部は安く手に入るのかもしれない. 民間の問題集が気象業務支援センターの解説まで含んでいるかどうか知らないので, 評判などを知らないならば,気象業務支援センターの問題集がいいのかもしれない.

    私が受験したときは4年目だったので過去3年分しかなかったが, 実技試験の傾向を推測するためには5年分くらいそろえるのが望ましい. 実技の勉強を過去問中心にするなら(他によい資料を入手できないなら)特に重要. 検出できた実技試験の傾向に関しては,実技のページ参照.


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